カッチワーク Kutch work

前回、次のアーリの作品に入ると書きましたが、先にカッチワークの紹介をしようと思いますのでお付き合いください。

アーリのブログですが、私が興味を持ったインドの刺繡もとりあげてみたいと思います。なぜなら、広いインドには地方によってさまざまな刺繡があって、まだ日本では知られていないものもたくさんあるからです。

Aari workは北インドで生まれましたが、現在ではインド各地に広まり産業として定着しています。
今回ご紹介するカッチワーク(Kutch work)は西インドのグジャラート州カッチ県を中心に広まったとてもユニークな刺しゅうです。

下の地図で見ると、首都のニューデリーってすごく北で、私がアーリを習いに行ったチェンナイ(旧マドラス)はかなり南。チェンナイはインド第4の都市です。
カッチはインドの西の端で、すぐ上がパキスタンなんですね。シンド州というところと隣接しています。昔むかしムガール帝国時代は同じ国の一部でした。

カッチワークはシンド州を代表する刺繡でもあるので「シンディワーク」とも呼ばれています。そして、もう一つ名前があるんです。

それが、「アルメニアのマルタ十字刺繡」。って、日本語になってないものを日本語にするとなんか変。
Armenian Interlaced Maltese Cross Stitch ちょっと長い。Armenian embroidery とかまぁいろいろ呼び方はあるようです。

アルメニアはアジアとヨーロッパの中間の国ですが、アルメニア刺繡ってカッチワークとほぼ同じテクニックなんですよ。

アンティークのアルメニア刺繡

さて、カッチワーク(私はカッチワークとして習ったので、この名前でいきますね)のテクニックの話をしましょう。

カッチワークは「枠」と「かがり」によって布の上にテープ?レース?状のものを織り上げていく、ユニークな刺しゅうです。技法は単純で、いくつかのパターンを覚えてしまえばどんな図案でも刺せてしまうという、刺しゅうとしては割と奥が浅いテクニックなんです。

だからといって面白くないわけではなく、刺しゅう枠をくるくる回しながら枠を作って、またくるくる回しながらそれをかがっていく作業がやけにハマるんですよね~。

カッチワークを刺してピンクッションに仕立てるキットを作ったんですが、カッチワークを見たことがない人には分かりにくいかもしれないので、動画も作りました。けっこう頑張りましたよ。

キットなので番号順に刺していけば出来上がるようにしましたが、基本は小さな1つの正方形から始まり、その正方形の連なりをいくつかの決まり事どおりに刺したりかがったりしていきます。

その決まり事ですが、例えば
 ・隣り合う交差はけっして同じにはならない とか
 ・枠を作るとき、けっして中の角で曲がることはない とか・・・

幾何学的な決まり事なので、モチーフも幾何学的になりがちですが、下のようにいくつかのステッチと組み合わせて植物や動物を描いたり、キットに用いたように曲線に四角を配したりもします。

動画を見て、キットを作ってみたいと思った方、Nelie Rubinaのオンラインショップやイベントで購入できます。
カッチワークのピンクッションキットはこちら

キットのまん中のモチーフくらいはちょっと手描きで図案を描いて、ぜひ試してみてください。