特徴と主な技法

Aari workの特徴

Aari workの最大の特徴は先のとがったかぎ針を用いてするかぎ針刺繍だということです。大きな刺繍枠にピンと張った布にかぎ針を刺して糸を引き出し、くさり編みを編むようにしてチェーンステッチを刺していきます。

針の種類は大きく分けて2種類あり、スレッドワーク(糸刺繍)用のかぎ針は、見た目はレース編み用のかぎ針に良く似ていますが、布に刺しやすいように先を鋭く尖らせてあります。
ビーズワークやザルドーシ(ゴールドワーク)用のかぎ針は木の柄の先に細くて真っ直ぐな針がついています。先端はごく小さなかぎになっており、ビーズや金属モールを針に通しておいてからチェーンステッチの中に編み込むようにして刺していきます。

アーリワークの刺繍枠

刺繍枠は主に大きくてがっしりした四角いもので、一般的には6フィート×4フィートほどの大きさです。インドの民族衣装サリーのブラウス用の布を一面に張って、職人が4~5人がかりで一気に刺していきます。小さな工房などでは直径40cmほどの丸い枠を専用の台に乗せて床に座って作業することもあります。どちらの場合でも刺繍枠は床に水平に設置され、針を垂直に刺しながらステッチします。

アーリワーク用の丸い刺繍枠

Aari workの様々な技法

アーリワークには糸刺繍(スレッドワーク)の他に、ビーズやスパンコール・各種パーツやモチーフ・金属モールなどを使った技法が多くあります。

スレッドワークではチェーンステッチ、パニワーク(ジグザグワーク)、サテンステッチ、ロングアンドショートステッチ、ホイールステッチ、サリーステッチ、マットステッチ、ブランケットステッチ(ボタンホールステッチ)などのステッチがあります。
ビーズやスパンコールを使うものはチャミキ、金属モールを使うものをザルドーシと呼びます。小さなミラーを縫いつけるミラーワーク、金銀のリボンをカットしたモチーフを用いるGotta Patti、Kundanというパーツを貼ったり縫いつけたりするKundan workなどがあります。
他にもアップリケやカットワークなどのテクニックもあります。

また、アーリワークはインド中南部の一部の州ではマッガムワークと呼ばれています。
広いインドには多くの言語があるため、テクニックや道具・材料の名称は地域によって違うこともあります。アーリワーク発祥の北部で使われているヒンディー語か、公用語である英語で呼ばれていることが多いようです。私が行ったチェンナイはタミル語圏なので、タミル語の名称も混ざっているかもしれません。

職人の仕事

インドではアーリワークは女性が趣味ですることもありますが、どちらかというと職人が民族服に刺繍をするためのものです。主にウェディングドレスや晴れ着に施されることが多く、1着分の布にアーリ職人が数人がかりで短期間に刺し、また別の仕立て職人が縫製をするといったように分業になっています。アーリの職人はアーリニードルしか持たず、ミシンや普通の縫い針を使って作業するものは他の職人が行うのです。